令和元年10月15日、「東京都住宅・土地問題研究会(以下、都住研)」の会議が、ザ・キャピトルホテル東急で開催されました。出席者は、都住研の鴨下一郎会長、石原伸晃最高顧問、顧問である本連盟の久保田会長、瀬川東京都宅建協会(以下、都宅協)会長をはじめ、本連盟・都宅協役員、自民党東京都連所属国会議員、国土交通省の青木由行土地・建設産業局長、小林靖住宅局大臣官房審議官など。本連盟および都宅協が提示している「令和2年度税制改正及び土地住宅政策に関する要望」を踏まえ、空き家・空き地問題、所有者不明土地問題、災害対策等について活発な議論が交わされました。
はじめに鴨下会長、石原最高顧問および瀬川会長、久保田会長の挨拶後、国土交通省の土地・建設産業局および住宅局から、延長項目や「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の創設」、「老朽化マンションの再生促進のための特例措置の拡充・創設」などの「令和2年度税制改正要望」および「予算概算要求概要」について説明がありました。
次に質疑応答では、最初に大西英男衆議院議員と松島みどり衆議院議員から、タワーマンションの災害対策について質問がありました。地下にある電気設備が冠水するとライフラインが止まってしまうため、上層階に電気設備を設置するマンションの建設に対して大幅な減税措置を講じたり、建築基準法を改正して電気設備の地下設置を禁止したりしてはどうかと提案したところ、小林審議官は「地上に電気設備を置くことは、法技術的には可能ですが、売却できる床面積部分を全部売れない床にするので、それを行った場合の影響があまりにも大きくて、どのような方法があるのかを今後検討していきたいと思います」と回答。
また、山田美樹衆議院議員は、災害時には電気自動車(EV)がマンションに電気を供給する蓄電池の役割を果たすため、電気自動車設置の優遇措置について質問したところ、小林審議官は「管理組合における規約の設定、変更になるため、行政側でどこまで取り組めるのかが問題となると思いますが、今後はEVの利用が望まれると思うので、考えていきたいと思います」と検討の余地を示しました。
さらに松島衆議院議員からは、所有者不明土地問題における相続登記の義務付けや優遇措置、土地の境界確定に対する質問もあり、青木局長は「相続登記の義務付け等については、所有者不明土地問題が大きくクローズアップされてから法務省と意思疎通を図っており、現在議論が大詰めを迎えている段階です。また、土地の境界確定においても地積調査に特段に力を入れており、法案も必要なので、先生方のお力添えをいただいて、しっかりと地積調査を進めていく予定です」と力強く答えました。
その後、中古住宅市場活性化委員長を務める井上信治衆議院議員は、空き家で少額取引の場合は譲渡費用の負担が重く、流通しづらい現状があるため、「次年度の要望に上がっている『低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の創設』に力を入れるとともに、空き家問題においてもあらゆる政策を組み合わせて対策を講じていきたい」と意欲を示すと、青木局長も「現在議論を進めているので、ご協力をお願いします」と支援を要請しました。
本会議の開催が10月12日の台風19号上陸による記録的大雨の直後であったため、災害対策に関する質疑が多く、さらに要望実現をはじめ、現在問題となっている住宅・土地に関する事項について、約1時間にわたって白熱した議論が展開されました。